これまで公務員は副業禁止でしたが、政府推進の「働き方改革」の影響や2019年3月に「公務員も副業を認めるべき」との意見が国会で議論され、公務員でも条件を満たすことができれば副業解禁の動きが拡がっています。 実例として神戸市、福井県、奈良県の生駒市が解禁されている状態です。
本記事では「公務員が何故、副業禁止なのか?」を公務員法や行政が出している根拠情報をもとに、政府や行政機関の現状の動き、実例を知った上で、みなさまの状況や環境に合わせて副業(兼業)申請の準備や対応を考えるキッカケになれば幸いです。
私も現役のみなし公務員でありながら、前職のスキルを活かしてWebマーケティングの副業(兼業)をしていますので、私が行った申請方法や環境も踏まえてご説明いたしますので、併せてご参考いただければ幸いです。
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現状の【公務員ができる副業】図表一覧
不動産賃貸 | 太陽光電気の販売 | 農業 | 家業手伝い | メルカリなど不用品販売 | 農業 |
転売目的の販売 | 飲食店 アルバイト | ブログ収益 | Youtube | イラストーター | データ入力 |
現役(みなし)公務員の私の場合
私の事例で言うと前職のデジタルマーケティング会社でSEOコンサルタントとして従事していた経験から2021年度の受託利益でいうと複業(副業)で約1500万程度です。私の場合は複業(副業)として携わっていましたので、自分のリソースを鑑みて、優秀なチームを1年から2年かけて作り、調査分析、クライアントとの調整、方向性出しは私、レポート作成は調査分析会社でアナリストとして従事している方に外部委託、記事作成などが発生する際は、構成、ライティングと段階に分けて担当する方を育成していった形です。結果、分野ごとのスペシャリストチームとして顧客に対しての成果も確実に出してきました。
【内訳】
直案件:SEOコンサル費用30万~50万/月×3件。業務委託:時給換算でいうと5千円から2万円程度。
単発での調査分析、企業講師依頼が年間2~3件の30万
※直案件、業務委託での報酬形態でも違ってきます。
申請不要または承認済の公務員ができる副業
不動産賃貸を副業(兼業)として
不動産賃貸(投資)などは昔から公務員の副業として最も多くの方が取り組まれている副業ではないでしょうか。
人事院のサイト内でも農業、家業の手伝い、太陽光電気販売等と一緒に公務員の副業として紹介されています。
人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
不動産投資が公務員の副業として人気の理由としては、初めとメンテナンス時には手間と労力が掛かりますが、それ以外の時期はほぼ放置でよく、本業にも支障をきたすことがないからです。 また、不動産投資はほとんどの方がローンを組みます。その際、公務員は収入が安定していますので信用力が絶大であり、ローンが組み易いことからも公務員の副業として人気となっています。
不動産賃貸を公務員が副業でするときは、以下の4つの条件を満たすことが重要です。
1)独立家屋の数が5棟以下、10室以下であること。
2)賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたもの以外であること。
3)賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するもの以外であること。 ※要するに駐車場、住居用などの目的であればOKということ
4)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額が500万以下であること。
ちなみにローンを組み易いという観点で私の実例をお伝えすると、公務員である「恩恵」がより伝わり易いと思いますのでご参考にしていただければ幸いです。
私はみなし公務員にあたり、住居用の家を購入する際、金利の低いネット銀行でローンの申請をしましたが、結果は通りませんでした。ある程度、想定はしていましたが、恐らく学生時代に住所変更をしておらず、携帯電話の料金支払い通知に気づかないまま、カードでの引き落としが遅れたことです。
それによって信用情報に傷がついたんだと思います。
いわゆるブラックリストです
しかし、その旨も正直に地銀の担当者に話したところ、現状の職種と役職が安定していることで、ネット銀行とそう変わらない金利でローンを組むことができました。(地銀の場合は単純にデータでの判断ではなく、環境や状況を直接聞いた上で総合的に判断するようです。その際に公務員などの安定した職種であれば金利も下げてくれたようです)
担当者の話では一般の民間企業で今回のような同じ事例であれば、信用情報が完全にクリアにならない限り、比較的年収が高くてもローンを組むことが難しいようです。
芸能人がローンを組めない事例が対比例ですね
総じてこの章をまとめますと、不動産賃貸は公務員ができる副業においては、正当かつ取り組み易い副業かもしれません。
※しかし、空室などのリスクはあるため自己責任で判断してください。
太陽光電気の販売を副業(兼業)として
太陽光電気の販売も公務員の規則が記載されている人事院の中でも事例として取り上げられている公務員副業の1つです。
初期投資や定期的なメンテナンス費用、天候の影響などを考慮した上で自己判断することが得策ですが、その点だけクリアしていけば本業に支障をきたすことなく、ほぼ放置状態で収益化することは可能です。
太陽光電気の販売を公務員が副業でするときは、以下の4つの条件を満たすことが重要です。
太陽光発電設備の定格出力が10キロワット未満であり、
尚且つ、太陽光電気の販売に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
(1)職員の官職と承認に係る太陽光電気の販売との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2)太陽光発電設備の維持管理等の太陽光電気の販売に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3)その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
比較的、地方だと太陽光電気のパネルが設置されている戸建てが多い印象です。都市部に比べて土地や建物の料金が易いことから、長期的なコストパフォーマンスを見た際に設置される方が多いと想定しています。
戸建てを購入する際に、検討した方が良さそうですね。
農業 牧畜 酪農 果樹栽培 養鶏を副業(兼業)として
公務員の規則が記載されている人事院の中でも事例として取り上げられている公務員ができる副業3つのうち前述した不動産賃貸、太陽光電気以外の最後の1つが本項目で解説する農業、放牧、酪農、果樹栽培、養鶏です。
基準はシンプルに 農業、牧畜、酪農、果樹栽培、養鶏等 大規模に経営され客観的に営利を主目的とすると判断される場合です。地方では副業(兼業)として行っている公務員も多く、公務員を退職後は農業などを専業にしている方も多いようです。
家業手伝い 家業継承を副業として
家業の手伝いであれば基本的に申請はとおり、申請不要でもあります。 例えば、神主や住職を兼業する公務員も多いようです。また、家業で事業を行っており相続などの問題で継承する必要がある場合は、 自営兼業承認申請書を申請することで公務員を続けながら、継承することが可能です。
メルカリなど不用品販売を副業(兼業)として
不用品の販売であれば、メルカリやラクマなどで販売しても全く問題ありません。 公務員の中には「メルカリ等を使った不用品販売も副業にあたるのでは?」と懸念されている方もいるようですが、あくまで「不用品」であれば自由に売買可能です。
しかし、これらを定期的、継続的にする行為(せどり、転売)は明らかに営利目的であり禁止となっていますので、ご注意ください。
出典:「義務違反防止ハンドブックー服務規律の保持のためにー」(https://www.jinji.go.jp/ichiran/ichiran_fukumu_choukai.html )
公務員の場合、与えられた仕事(答えがある仕事)を正しく遂行することが求められます。そこには、新たな創造価値を持ち、0→1で何かを作りだすことは少ないので、
自身で商流を作る実感を持つために、個人的には公務員がメルカリを副業のキッカケとして取り組むことは推奨いたします。
また、配偶者などと協力することで、継続的な行為(せどりや転売)に該当しない場合もあるかもしれないので、自己責任でお取り組みされても良いかもしれません。
例えば、郵便局員は2007年10月の郵政民営化以降は公務員ではなく、民間企業の社員となったので、公務員法には直接該当することはないと思いますが、ご不安な方は配偶者と協力して、一定の収益を上げることができるのではないでしょうか?
郵便局員であれば、メルカリで一番安く送る方法や不着の際に起こるトラブルの対処法、または職場での差し出しなど、あらゆる面でメルカリでの「副業もどき」は可能だと思います。
日本を代表する大手企業の中では先行して、日本郵政グループが週1日まで副業OKに。しています。
※郵便局の場合も副業(兼業)申請が必要な場合は、正しく申請したあと、副業(兼業)することを推奨いたします。
株式投資 投資信託 FXを副業(兼業)として
売買代金は譲渡所得、配当金は配当所得にあたるので公務員の副業にはあたりません。 しかし、企業の機密情報を知り得る職種であった場合は、インサイダー取引にあたらないように注意してください。
インサイダー取引は、信用問題に発展しますので自分だけでなく職場全体ひいては公務員全体の信用に影響します。
私自身はインデックス商品を中心に短期と長期に分けて投信信託で運用していますが、 市場やビジネスを知ることができますし、退職後も1つの運用スキルとして重宝すると考えています。
私はインデックス投資を行っています
(作家、小説家として)執筆活動を副業(兼業)として
公務員が執筆活動を行い、小説の印税収入を得ることは、可能です。 作家活動は営利目的に該当せず、「趣味」の範囲にあたりますので、公務員法による規制からは外れています。
実際に公務員をしながら、副業で小説を35作品以上、出版された朝里樹さんという方もいます。
規則正しい勤務スタイル、土日祝日の休みなど、公務員の働き方を考えると、もしかして小説家を目指している方は安定した基盤を持ちながら、夢を叶えやすい環境かもしれませんね。
申請不要だが念のため職場に報告した方が良い公務員の副業
単発の講師や講演活動、執筆は申請不要であり、報酬や謝礼金を受け取っても問題ありません。
しかし許可に関しては各自治体に差があるので相談ベースで事前に上長に話しておく方が良いでしょう。
私も公務員でありながら、Webの専門学校から依頼をSEO及びWebマーケティングの講師依頼を受けてオンライン(Zoom)で開催し謝礼金をいただきました。
部活や地域のスポーツクラブの審判員や
元気象予報士の知人は公民館で災害情報の講演などを行政から依頼されています
申請必須かつ承認が下りない(許可されない)公務員の副業
転売目的でメルカリなどで不用品販売を継続すること
不用品の販売であれば、全く問題ないことを前述しましたが、 転売目的、いわゆる「せどり」で稼ぐために仕入れて売るを継続することは禁止です。 このあたりは明確な線引きが難しいですが、あくまで「自身で使う目的で購入した商品を不要になったので販売する」ことが許され、「稼ぐために仕入れて売る」ことは公務員の副業としてNGです。
飲食店などのアルバイト
申請をしても承認される可能性は低いです。 何故なら飲食店などでのアルバイトは兼業にあたるからです。
兼業とは継続的に活動し報酬を得ることです。
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_e.html
ブログ(アフィリエイトやアドセンス広告)で収益を得ること
時間のコントロールができ、ネットで完結できることからブログ、SNSを用いて副収入を得ることが流行していますが、公務員においては禁止です。 営利目的に記事メディアを作る。またはフォロワーを増やすことは自営にあたるからです。 ネットで完結するからバレないだろう?と思いきや、確定申告時や第三者による報告など、予想だにしないところからバレることがあります。
しかし、収益なしを前提に記事を書き、ブログ運営していくことは個人的には推奨しています。調査能力、論理的思考能力、文章力、データ解析からの仮説思考など仕事に役立つ様々な能力が得られるからです。また、記事がシェアされたり、PV数が伸びてくると承認欲求が満たされ、毎日のハリもでますし仕事へのモチベーションも沸くと感じています。
今はNGですが、公務員から副業可能な民間に転職したタイミング、または公務員自体ブログがOKになった際に運営歴から考えても収益化が有利になります。
また、公務員がブログ運営で稼ぐことが(アフィリエイト)判例であがったことは過去にもなく、これからもないと想定されます。
ばれる可能性としては、第三者による会社への通報が一番に考えられます。 会社の人事規定で定められた許可基準を満たしていない、そもそも副業(兼業)申請を出していない場合は、懲戒処分を受ける可能性が高いので、ブログにアフィリエイトリンクを貼る場合は、しっかりと事前に申請することを推奨いたします。
公務員を続けながらWebマーケティングのスキルを上げて、転職、フリーランスになる選択もできるかと思いますので、まずは、無料セミナーにオンラインで参加したあとに、Webマーケティングスクールに通ってみるのもありかと思います。
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Youtube(アドセンス広告、メンバーシップ)
Youtubeの収益構造は広告収入ですので、ブログ同様にNGです。
過去に公務員がYoutubeで収益化をして懲戒処分となった事例として下記の2つが有名です。
陸上自衛隊の隊員がゲームの攻略動画を投稿し、約108万円の広告収入を得た事例
消防士がゲームの実況動画を投稿して115万円の収益を得た事例
消防士の多くは3交替制・2交替制の24時間体制で勤務に就いています。 知人によると、災害時などの緊急出勤がない時以外は結構時間を持て余しているようです。怪我や転職を考えた際に、何かしらのスキルを「準備」しておくのは大事かと思います。
Youtubeに動画を上げること自体は問題ありませんが、広告収益を得ることがNGです。
また、動画を上げる際は国家公務員法と地方公務員法で記載されている以下の3点に注意した方が良いでしょう。
・信用失墜行為をしてはいけない ・守秘義務を徹底する ・本業に専念する
しかし、内閣官房内閣人事局が運営しているYoutubeでは国家公務員の働き方などYoutubeを利用したPRに力を入れていることから個人で習得したスキルを公務のPRに活かすこともできるのではないでしょうか。
プログラミングの仕事を副業(兼業)として
公務員がプログラミングの仕事をクラウドソーシングなどを利用して報酬をいただくことはNGです。しかし、プログラミングは2020年から小学校で必修化されたり、岸田内閣が発表した「デジタル田園都市国家構想」でもデジタルの実装を進め、地方と都市の差を縮めていくことで日本の成長を促進する計画など、地方×デジタル(IT)の公務員にとっても必須のスキルになると思います。小学校や地域の公民館などでプログラミングスクールなども開催でき、本業との親和性も高いと思います。
また、最近では町内会や社会福祉協議会などの各種団体がCMSを利用してHPを作成するなど、積極的に高齢者もITを学ぶ方向性になってきていることから本業でも活かせるのではないでしょうか。
転職時や公共性の高い副業であれば自治体によっては承認される可能性もあるかと思いますので、まずはスクールなどに通って受講することをお勧めいたします。
政府が示すようにITスキルを持った人材は今後より重宝されると感じています。私は前職がWebマーケターとして活躍し、現在はみなし公務員として従事していますが、経済産業省主催のデータサイエンス/ DXスキル育成プログラムにも参加しています。
公務員を続けながらプログラミングのスキルを上げて、転職、フリーランスになる選択もできるかと思いますので、現場のプロから直接学べるオンライン特化型のプログラミングスクールに通ってみるのもありかと思います。
イラストレーターの仕事を副業(兼業)として
公務員がイラストレーターとして副業することは、ケースによるというところです。
というのも、例えば同人誌販売などで収入を得る場合は、個人の表現活動の結果として報酬が得られた。とみなされる可能性があります。
公務員が小説家として副業することと同じ考えですね。
単発での謝礼金という形であれば、自治体によってはスムーズに承認される場合もあるかもしれませんが、継続的に収入を得ることはよく相談した方が良いと思います。
または、公務員を続けながらイラストレーターとしてのスキルを上げて、転職、フリーランスになる選択もできるかと思いますので、完全未経験から始められるWebデザインスクールなどに通ってみてはいかがでしょうか?
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クラウドソーシングで依頼を受けた仕事
クラウドソーシングで仕事を受注して報酬を受けること自体、NGです。
こちらは、今まで各職種のご説明をさせていただいたのでご理解いただけると思いますが、
今一度、規則を引用していますので、ご確認いただければ幸いです
地方公務員法第38条
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
引用:地方公務員法
国家公務員法第103条
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
国家公務員法第104条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
引用:国家公務員法
データ入力を副業(兼業)として
公務員がデータ入力で報酬を得ることは基本NGです。
データ入力はWordやExcelなどを用いて、指示された内容を入力する仕事であり、パソコンが得意な方であれば気軽に始められて、ちょっとしたお小遣いがもらえるかもしれせんが公務員が継続的に報酬を得ることは禁止です。
もし副業でデータ入力の仕事をしようと思っても、報酬が低い案件が多いのでとにかく数をこなさなければいけません。公務員の本業がありながら、副業としてデータ入力をすること自体、現実的ではないですし、スキルも身に付きませんの個人的には推奨していません。
公務員は何故、副業を禁止されているのか?根拠を知ろう
公務員の副業を縛るルールは、「国家公務員法」と「地方公務員法」にその根拠が明示されています。
こちらに記載の根拠は公務員が副業禁止となる根幹となりますので、必ず抑えておいてください。
国家公務員法(第99~101条)
国家公務員法
第三章 職員に適用される基準
第七節 服務
(信用失墜行為の禁止)
第九十九条 職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第百条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
② 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。
③ 前項の許可は、法律又は政令の定める条件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。
④ 前三項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によつて行われる調査又は審理に際して、秘密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかつた者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない。
⑤ 前項の規定は、第十八条の四の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会が行う調査について準用する。この場合において、同項中「人事院」とあるのは「再就職等監視委員会」と、「調査又は審理」とあるのは「調査」と読み替えるものとする。
(職務に専念する義務)
第百一条 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。
② 前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。
地方公務員法(第33~35条)
地方公務員法
第三章 職員に適用される基準
地方公務員法
第六節 服務
(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。
(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
上記をまとめると、公務員の副業は「世間の評価」「守秘義務」「職務専念」の観点から好ましくないために規制されています。
これらを前提知識としておさえた上で、公務員が副業することを個人的には推奨いたします。
何故なら、副業は報酬以外に得れることが多いからです。
例えば、
- 他業界、他社での働き方、考え方を知れる。
- 自身の市場価値を知れる。
- 求められる成果や期待値に応える責任感がつく。
公務員は世間的には、「決められたことを固くやっている。」イメージがあると思いますが、
部署によっては裁量権があり、自ら関係各所と連携して一定の成果を出すために、ハードワークをしている部署があります。
その働き方やビジネススキルに関しては、一般企業と変わらないですし、報連相も徹底した組織であるが故、副業人材として民間企業で価値を出せる可能性は往々にしてあります。
ぜひ、チャレンジしてください!
副業と兼業はNG。単発的な報酬はOK
副業と一緒に兼業という言葉もでてきますが、結論明確な違いはありません。
言葉の印象で言うと、副業は本業をメインとして副業がサブにあたり、兼業はどちもメインとしています。前述したよう公務員が許可なしに副業、兼業で収入を得ることは禁止されていますが、講演会の依頼や広報誌の執筆など単発の報酬であれば「副業、兼業」に該当しないので、基本、許可は必要ありません。
その根拠は人事院の照会例でも明示されています。
【照会例 12】Q. 単発的に講演を依頼され講演料を得た場合や、研究成果等を雑誌等に単発的に発表し報酬を得た場合などは、第 104 条の兼業に該当しますか。A. 第 104 条における「事業に従事し、若しくは事務を⾏う」場合とは、「国家公務員としての職務以外の事業⼜は事務に、継続的⼜は定期的に従事する場合」を⾔いますので、上記のような単発的に従事する場合は、第 104 条の兼業に該当しません。
出典:「義務違反防止ハンドブックー服務規律の保持のためにー」(https://www.jinji.go.jp/ichiran/ichiran_fukumu_choukai.html)
よって、単発かつ社会通念上妥当な報酬であれば副業や兼業にはあたらないので許可なく可能ということです。もし心配であれば、上記の根拠をしっかりと抑えた上で上司もしくは許可が必要な部署に相談することをお勧めいたします。
人事部・総務部などの担当部署に相談するのであれば問題ないかと思いますが、直属の上司に相談し、公務員法、副業、兼業の知識をあまり理解していない方であれば担当部署と連携する前に、その場で禁止される可能性もありますので、まずはご自身が知識武装してください。
副業禁止の企業が明示(最近のニュース)
第二回 副業の実態・意識に関する定量調査
今まででの記述で公務員の副業は限られた内容および単発であれば承認されることがわかったと思います。
しかし、まだまだ全面解禁には至らないということから肩を落とし諦めた方。もしくは申請せずにばれなきゃいいだろう?という事で密かに副業をしようと考えた方もいたのではないでしょうか。
下記の記事をみて頂ければ、今はダメでも近い将来、公務員でも当たり前のように副業ができる将来がくることが予想されます。
そのためには、しっかり副業禁止の根拠と今の動向を抑え、ご自身の準備は進めていくことをお勧めいたします。
例えば、Webライターを始めるにも知識とスキルが必要、アフィリエイトを始めるにもサイトを立ち上げ、SEOの知識、ライティングの知識とスキルが必要になってきます。
それらを収益を立てないことを前提で、準備することは全く問題ないことが前述の公務員法でも記載されていますので、まずはご自身の未来のために出来ることから始めてみてはいかがでしょうか。
【News❶】地域活動で休暇可能に
職員の特別休暇として「地域貢献活動休暇」が創設される予定。自治体やNPOなどの担い手不足が各地で深刻化する中、兼業などによる職員の活動参加がしやすくなるとのこと。
コミュニティー維持や職員に多様な経験を積んで欲しいとの考えから、神戸市などが検討を初めており、効果を上げれば各地に広がる可能性がある。
特別休暇は、法律に関係なく企業が独自に従業員に与える休暇で、慶弔休暇やリフレッシュ休暇が代表例で、自治体の場合は一部を除き、国家公務員法に準じるのがルールとなる。
国には被災地支援などに充てるボランティア休暇はあるが、現状、地域貢献活動のための休暇はなく、札幌、名古屋、神戸、広島、熊本の5市が創設できるかどうかを明確にするよう求めている。
職員は公務優先が原則で、安易に特別休暇を増やすべきではないとの考えから、創設する場合は、目的や必要性などを住民や議会に説明するよう求める。
神戸市によると、地域貢献活動に興味を持ちつつも、公務への悪影響を懸念して参加をためらう職員は多く、休暇が制度化されれば参加のハードルは下がる。
自治体の約7割は役員のなり手が不足し、退職した職員の紹介も始めているが需要を満たせていないとのこと。
神戸市の担当者は「法律や会計の知識がある人材のニーズは高く、職員としても活動経験は公務に生きるはずだ」と話している。
自治体、人口減で兼業促す~報酬を得てNPO理事長も
自治体の間では、職員の兼業を積極的に促す動きが出始めている。人口減少が進み、地域社会の担い手が不足していることが理由だ。
兼業先はさまざまで、報酬を受け取り、NPO法人の理事長に就いた例などがある。「地域貢献活動休暇」は、この流れを加速させそうな動きである。
地方公務員法の規定で、自治体職員は勤め先の許可を得れば
❶営利団体の役員を兼務 ❷営利企業を運営 ❸報酬を得て兼業に従事
することが可能。
活動は休日や勤務時間外に限られ、総務省の調査では2018年度の許可件数は約4万2千件。約8割が市区町村であった。
しかし、「許可を得られない」「法に触れるのではなないか」と兼業をためらう職員もいいて、このため自治体の約4割は、どのような活動なら許可できるかを示したルールを定めている。
総務省によると、こうした自治体では職員の兼業が進み、「月3万円程度の報酬で商店街活性化のNPO法人理事長に就任し、年約50回程度活動」「月2万円程度の報酬で障碍者支援団体の代表に就き、週2~3日活動」といった事例がタ報告されているとのこと。
国も兼業を後押しし、今後の地方公務員には「公務以外でも、地域の課題解決に積極的に取り組むことが期待される」と指摘している。
2023年8月12日の中国新聞を参考
公務員の副業、兼業が当たり前になる日は近いことを感じさせるニュース
【News ❷】副業制限なら理由公表 厚労省、解禁加速へ企業に要請
厚生労働省は企業に対し、従業員に副業を認める条件などの公表を求める方針だ。副業を制限する場合はその理由を含めて開示するよう促す。働く人は勤め先を選ぶときに、副業のしやすさを判断材料にできるようになる。副業を認める企業は増えつつあるが、大企業ほど慎重な傾向があり、情報を開示してもらうことでさらなる普及を目指す。働き方の多様化につながり、雇用の流動化の後押しにもなる。
2022年6月24日 日経新聞から一部引用
【News ❸】意外に知らない副業のリスク。軽く捉えると会社に大きなダメージを与えかねない「ニューリスク」とは
なぜ日本では副業を推奨しているのですか?
1つ目は、低すぎる従業員の労働生産性の改善、2つ目に厳しすぎる解雇規制に対する、日本流の人材流動化施策です。 1つ目については、一般的な給料の上げ幅より、副業の方が稼ぎやすく所得が上がるからです。今、給料の昇給率は平均で月5,000円程度と言われている一方で、副業を開始すれば平均で月6万円の収入アップにつながります。労働生産性の低さにもつながる要因ですが、会社に要請してもすぐ給与は上げられないため、個人で自律的に副業できる環境を整備しています。
2つ目は長年の終身雇用で硬直化した人事制度や雇用規制に対する、個人の社外越境機会の整備です。より社外に出て行くことを推奨し人材の流動性を上げるためです。2022年7月に改定された副業ガイドラインでも「企業は、労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するよう、副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合はその条件 について、自社のホームページ等において公表することが望ましい。」と明確に記載を変更しています。
意外に知らない副業のリスク。軽く捉えると会社に大きなダメージを与えかねない「ニューリスク」とは から一部引用
【News ❹】2023年4月から公務員定年引き上げ
現在60歳となっている国家公務員と地方公務員の定年が、2023年4月1日から61歳に引き上げられます。
その後も2年ごとに1歳ずつ引き上げ、2031年度に定年を65歳とする。シニア層の職員が持つ知識や経験を生かすとともに、少子高齢化が進む中、深刻化する人手不足に対応する狙い。民間企業でも同様の動きが広がるか注目される。 年金支給開始年齢が65歳に引き上げられる中、60歳で定年退職すると無収入の期間が発生する。現在この期間は再雇用制度で対応しているが、政府は定年延長によりシニア層の職員の働く意欲を維持しつつ、経験を生かし若手のサポートなどに当たってもらう考えだ。
4月から公務員定年引き上げ 国・地方、人手不足に対応
このことからも、現在公務員の20代~30代の方は生涯、公務員として従事するのか、それとも市場価値を高めて早い段階で、新たな道を検討するのかを、新しい年度になる、この機会に考えてみてはいかがでしょうか?
【News ❺】「公務員組織における副業・兼業者の実態調査」を実施
副業事故防止・監査プラットフォーム「フクスケ」を提供する株式会社フクスケ(本社:東京都千代田区、代表取締役:小林 大介、以下「フクスケ」)は、公務員組織における副業・兼業者の実態調査を実施しました。本調査結果では、副業・兼業を実施していない人の職場では、職場の副業に対する雰囲気として「やや否定的+非常に否定的」が合計で56.1%と多数を占める一方で、「非常に否定的な職場」においても副業・兼業希望者が40.8%に登っています。
まとめ
本記事では「公務員が何故、副業禁止なのか?」を公務員法や行政が出している根拠情報をもとに解説し、「今後、公務員の副業はどのようになっていくのか?」を説明しました。
私自身は現役の(みなし)公務員で申請許可を得て、副業(複業)をしています。
これから副業を「転職準備のために何かしらのスキルを身につけたい。」「本業に活かせる知見を増やしたい」または「生活、将来のために始めたい。」本記事がそのような方のお役に立てれば幸いです。
私自身もアップデートしていきます。
最後に、この記事を読んで「転職するかどうかは決めてはないが、準備だけはしておこう。」と思った方は、大手転職サイトのdodaに登録し、一度面談を受けてみてはいかがでしょうか?私も自身の市場価値を確認するために、登録だけはしていました。
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