まずはじめに、SEOコンサルタントとして13年の経験とデータベース型サイトの成功事例から言えることはデータベース型サイトのSEO対策は設計が全てを決めると言っても過言ではありません。
設計を初期段階(新規立ち上げ、リニューアル時)で綿密に作っておかないと、後々改修コストと時間が掛かります。
結果、施策インパクトが大きい根本の修正ができず、ツギハギのパッチワーク的な施策となり、サイト全体の最適化に失敗することになります。
では、具体的にデータベース型サイトのSEO設計とは?何ぞや。をブランド買取、不動産、求人/転職、アパレルEC、美容系サイトなど業界別の5つの成功実例/失敗事例をもとに、SEOを考慮したデータベース型サイトの作り方、流入を増やすための記事作成を含めたデータベース型サイトにおけるSEOの最適解とデジタルマーケティング全般を網羅的に解説いたします。
実際の施策事例をもとに図解を用いて失敗や成功事例を記載していますので、事業者さまは勿論、受託するWebマーケター、SEOコンサルタントの方々にも調査〜提案〜実装までの流れの中で必ずお役立ちできる内容です。
1度ざっくり読んだ後でも、(PCでは)目次を右カラムに固定させておきますので、ブクマ等で必要な時に必要な項目だけご確認頂き、参考にしていただければ幸いです。
それでは始めます!
SEOを考慮したデータベース型サイトの作り方(設計方法)
データベース型サイトは数万ページと多くのデータを保有し、また自動で増えていくサイトです。
不動産、求人/転職、美容系の情報掲載型のサイトやECサイトなどが当てはまります。
設計手順を大まかに記載すると、
- キーワードの「As is」「To be」を可視化
- 対策キーワードにおける「To be」が実現可能であり、施策インパクトがあるかを社内、またはSEOコンサルタントと共に決定する。
- EC/データベース型サイトにおけるSEOキーワードの選定
- クエリから考える対応ページとカテゴリの整理方法
- EC/データベース型サイトサイトに最適なディレクトリ構造を決めていく
- 内部リンクを整備していく
- サイトマップ最適化
- クローラビリティ(クロールバジェット)
- ECサイトで類似商品が複数ある時のcanonical設定について
- PLP(優先的なランディングページ)について
- 各階層ごとのページ構成を作る(コンテンツ要素)
- EC/データベース型サイト ドメイン配下のブログ(記事)作成
- EC/データベース型サイトのmeta要素作成。(流し込み易いようにテンプレ作成)
- モバイルフレンドリー
- Altタグ(画像検索対策)
- Core Web Vitals(コアウェブバイタル)
- 被リンク獲得
- Instagram、PinterestなどのSNSマーケティング
- 指名検索
- EC/データベース型サイトの効果検証
- ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)について
多くの手順がある中でも、SEOに強いデータベース型サイトで抑えておきたい工程を中心に解説していきます。
データベース型サイトにおけるSEOキーワードの選定
まず初めに競合との差分を見極めてどこまでの粒度でキーワードを取りにいくか、または強みを活かしてWeb上で取りにいけるかを受託であれば顧客と、または自社サイトであれば社内で各部署と話し合うことが必要です。
例えば、受託のSEOコンサルティングの場合、SEO観点で調査した際の競合の優位性、既存サイトを運営中であればWeb上での顧客サイトの優位性をSEOコンサルタントが可視化してズレがないかを顧客と擦り合わせてください。
何故なら、無いもの、戦えない商品を対策したり調査をしても無駄な時間を使ってしまいますし、SEO上の優位性と顧客からヒアリングした際の実店舗などでのリアルでの優位性が合致していれば、まずはそこを尖らせた方が収益化が早いからです。
よくある失敗例が社内の決裁者、上層部の言うことを鵜呑みにしてしまい、SEO上のレッドオーシャンキーワード、いわゆるビッグキーワードから対策してしまうことです。
※または、SEOには不向きなASPを選択してしまい、最適化に限りがでてしまうことです。
勿論、中長期的にはビックキーワードも狙っていきますが、潤沢な予算、リソースがない限り、初めからビッグキーワードありきの戦略を立ててしまうと、想定よりも無駄なコストと時間が掛かってしまうことが往往にしてあります。
ですので、まず初めに、
「強みを活かしてどの領域を攻めるか?」「現状の改修インパクトが大きいSEO上の課題点」は何かを順位を可視化することにより、仮説を立て、戦略を立ててください。データベース型サイトの根幹はキーワードマーケティングとなり、本章が最重要項目となりますので、キーワード戦略における成功事例をご紹介しつつ、具体的且つ丁寧に解説していきます。
データベース型サイトのSEO成功事例(ブランド買取)
下記の表はキーワード毎の各サイトの順位状況を可視化したものです。 色が明るくなるにつれて上位表示できている状態です。(1位は黄色)
視認性という指標を用い、Web上でどれだけ見つけ易いサイトかを円グラフ化しています▼
SEOにおけるKPI
「ブランド買取」「ブランド名×買取」「(ブランド名)アイテム×買取」で上位表示させたい。
順位の可視化で分かったこと
対象サイト(買取A)は買取C、D、Eの順位と比較して「ブランド買取」「ブランド名×買取」「(ブランド名)アイテム×買取」での上位表示ができていない。「ブランド買取おすすめ」「ブランド買取 口コミ」「ブランド買取 ランキング」においてはどのサイトも上位表示できていない。
対象サイトは競合サイトと比較して、「時計ブランド名」※「時計ブランド名×買取」で上位表示できている。
調査分析
サイト設計(ディレクトリ構造、パンくずなどの内部リンク構造、一覧、詳細のコンテンツ量、商品数、インデックス状況など)※この辺りは後述いたします。
調査分析結果~仮説からのヒアリング
【Web上】時計カテゴリにおいては競合よりも上位表示できている理由を調査分析。
- 競合サイトよりも商品数が多い?
- コンテンツリッチ度が高い?
- ページ単位での被リンク数が多い?
【リアル】顧客に以下の質問をしていきます。
- 時計の買取実績は他社と比べいかがでしょうか?掲載することは可能でしょうか?
- アンケートは取っていますか?
- 時計を買い取ったあと、自社販売をしていますか?
- ネットオークションに出品していますか?業者間で取引していますか?
- 時計の買取は利益率はどうでしょう?
- どのブランドの利益率が良いでしょう?
- └ロレックスであれば人気のモデルは?他社にはなく自社にしかないロレックスの人気モデルは保有していますか?
など、SEO観点での調査はWeb上でおこない可視化。利益率や実際の商流などは受託しているSEOコンサルタントが顧客にヒアリングし、収益を最短で最大化できるSEO戦略を立てていきます。
施策内容
私であれば、中長期的には「ブランド買取」のビックキーワード、「(ブランド名)アイテム×買取」を狙うが、まずは時計のカテゴリにおいて、商品数(掲載数)や買取実績が他社よりも多いのであれば、時計カテゴリをさらに尖らせて、すべての時計ブランド名で3位以内に上位表示させることを初期施策で優先。
その後、顧客接点を持てばリストへの横展開が可能になるので、例え「アイテム×ブランド名」で上位表示できてなかったとして、ビジネス的には戦略勝ちになるのでは?と考察し顧客提案いたします。
※SEOの本質は順位を上げることだけでなく、収益をあげる最短の道をキーワードでフィルタリングする事だと私は考えます。
また、「ブランド買取おすすめ」「ブランド買取 口コミ」「ブランド買取 ランキング」については、記事で対策することを立案。
しかし、mybestなどのメディアに勝つのは容易ではないので、「ロレックス デイトナ 買取相場」「ロレックス デイトナ 高価買取」などの時計アイテムの「ブランド×モデル名」のキーワードを先行して徹底的に狙い、さらには記事から商品詳細ページに内部リンクを這わせていき、「ブランド×モデル名」の商品詳細ページに重み付けをしていきます。
一方で、SEOだけに終わらず、SFA、CRMなどのSaaSでナーチャリングしWeb上の戦略だけでなく、新聞折込、郵便局のDMサービスなどの紙媒体で遺品整理などを考えている高齢者層にもアプローチできるか等、総合的にご提案する事も必要です。
この辺りは、顧客の事業と強みを理解していなければ、考察、アイディアすらも出てこないことだと思いますので、SEOコンサルタントは「顧客のことを知る」ことを最重要視してください。
余談ですが、私は中小であれば直接、代表取締役に創業経緯を。大手であれば担当者・責任者に趣味、好きな音楽、映画など業務以外のことをできる限り聞くようにしています。
何故なら、考え方や好きなテイストを知ることができ、熱量も感じることが出来るからです。
本事例のデータベース型買取サイトをご支援した際、元々は紙媒体の広告事業をしていた経緯を代表取締役から直接お聞きし、紙媒体のマーケティングが顧客の強みと知ったことで、Webマーケティングと紙媒体広告の合わせ技で初速の伸びが早い経験が多数あります。
ヒトに興味を持ち、事業(コト・モノ)に興味と関心を持つことで信頼を構築でき、双方の得意分野が掛け合わせることができるのです。
Web制作に関しては、マーケターだけでは完結できません。デザイナー、エンジニア、ライター、そして顧客のベクトルが同じになったときに自走していくサイトが出来ると考えています。
特にSEOを受託するコンサルタントはヒアリングを厚めにすることを推奨いたします。
※実際にユーザーとして顧客の商品、サービスを体験することが顧客、ユーザー、双方の抽象度が高くなるので、おすすめです。
自身の結婚式の席次表を顧客に作成していただき、事例として掲載していただいた事もあります。
Webマーケティング、SEOコンサルティングを受託する際の考え方などは、下記の記事でもご紹介していますので併せて読んでいただければ幸いです。
データベース型サイトに最適なディレクトリ構造を決めていく
下記は大型求人サイトのディレクトリ構造です。
データベース型サイトは下層ページのコンテンツがまんべんなく評価を得て、階層同士を内部リンクで繋ぎ合うことで、その上の階層ページが評価されやすくなります。
カテゴリを決めていくにはキーワードにおける「To be」から設計していくことが理想です。
よくある失敗例が社内の決裁者、上層部の言うことを鵜呑みにしてしまい、SEO上のレッドオーシャンキーワード、いわゆるビッグキーワードから対策してしまうことです。または、既にあるカテゴリや区分をそのまま踏襲してしまうことです。
データベース型のサイトは数万~数億ページのインデックスが存在し、将来的にも運用していく段階で大量のページが生成されることを考慮した上でカテゴリ決め、内部リンク、クローラビリティを考慮して設計していく必要があります。
ポイントとして設計段階で、下層ページ(詳細ページ)のコンテンツ面も大まかに想定した上で、作っていくことがベストです。
※キーワードのTo beを出せても、コンテンツが薄く(求人や商品の種類や数が少ない等)、将来的にも増える見込みがないカテゴリであれば、独立させることで逆に評価が分散してしまうこともありますので、統合することがベストプラクティスです。
こういった点を、カテゴリを決める前に顧客、自社内でよく話し合うことです。
内部リンクを整備していく
パンくず
パンくずリストを設置することによって、クローラーが効率的に該当のカテゴリを辿り、サイト全体の構造を伝えることが出来るため、効率的なクローリングが可能となります。
また、ユーザーに対しても現在、サイトのどの位置(ページ)にいるかを可視化して伝えることが出来ます。特にECサイト/データベース型サイトにおいてはページ数が多く、サイト内で迷子になり易いことから、クローラーにもユーザーにもパンくずリストを設置することによって、現在位置を伝えてください。
応用編(データベース型サイトでよくある事例)
データベース型サイトでは1つのアイテム(求人情報や商品)が複数のカテゴリに所属しているため、パンくずリストの経路を複数設置した方がユーザービリティの観点からも有効な場合があります。
Googleの公式では、複数のパンくずリストを発見した場合、現状、Googleは最初の1つを取得するとのことですので、SEO観点で優位というよりもUI/UX観点で考えると良いと思います。
複数のカテゴリに所属している求人情報があるときのパンくず例▼
IT 転職 > Webマーケティング 転職 > SEOコンサルタント 転職 > SEOコンサルタント 転職 東京
東京 求人 > Webマーケティング 転職 > SEOコンサルタント 転職 > SEOコンサルタント 転職 東京
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サイトマップ最適化
クローラビリティとインデックスを考える上でも指標となるのがサイトマップです。
どのページを評価させたいか?そのためには、どういった設計で内部リンクをどこに集約させたいかを考えていきます。
サイトマップ作成と同時にワイヤーフレームも同時進行で作成することをお勧めします。SEOに最適な設計、UI/UX観点、デザイナーやエンジニアとベストプラクティスを考えているうちに変更点が多くでてきますので、サイトマップ、ワイヤーフレームと整合性のあうように整えてください。
※SEOとUI/UXのデザイン周りは相関性がありますが、Googleはまだまだコンテンツ(特にテキスト)をアルゴリズムの優先順位としている傾向がありますので、デザイナーと一緒に進めていくことをお勧め致します。
インデックスとクローラビリティ(クロールバジェット)
インデックス
インデックスとはGoogle(検索エンジン)のデータベースに登録されることです。
例えると、本屋の本棚に自身の書籍が並ぶことだとイメージしています。
ページ数が多い本を読むのに時間が掛かるように、データベース型のサイトでは末端のページがインデックスされていない状況がよく起こります。サーチコンソールでは除外にあたり価値が薄い状態です。
改善策の例としては、
- 独自コンテンツの追加
- 内部リンクを流さない、制御する。
- URL送信対象から除外し、クロールバジェットをコントロールすることが大事です。
商品の販売終了ページの対応
基本はページを削除した場合は、404 (not found) の HTTP ステータスコードを返し、ブラウザではエラーページを表示します。
404エラーページがサイトの残りのページのクロールやインデックス、ランキングに悪影響を及ぼすことはありません。
ユーザーが折角検索して訪れてくれたのに、404ページで素っ気ないページを表示させるのは忍びないという方は、カスタム404という形で、別の流入が多いページやTOPページに誘導させることも可能です。 ※サーバー環境によって可能ですので、ご利用のサーバーで実現可能かご確認をおねがい致します。
Googleの公式もご参考くださいませ▼
ユーザーに対して、探しているページが見つからないことを明確に伝えます。親しみやすく平易な言葉を使用します。
404 ページを、サイトのその他の部分と同じデザイン(ナビゲーションを含む)にします
最も人気のある記事や投稿へのリンクのほか、ホームページへのリンクを追加します。
無効なリンクを報告する方法をユーザーに提供することを検討します。
引用:soft 404 エラー
インデックス失敗例(XMLサイトマップの記述ミス)
XMLサイトマップはクローラー向けのサイトマップで、XMLサイトマップのデータを参考にECサイト/データベース型サイト内をクロールします。XMLサイトマップにはURLだけでなく、更新日時や更新頻度、優先度を補足情報として付け加えることが可能です。
本事例は次の章で詳しくお伝えするcanonical設置のミスと併せた問題で、2語以上の掛け合わせキーワードがインデックスされていなかった事例です。
条件検索機能で絞り込み後、吐き出されたパラメータURL(動的)がパラメータのないURL(静的)でsitemap.xml上に記述ミスされていました。
改善点としては、絞り込み条件後のURLを全てsitemap.xmlに記述するようエンジニアと一緒に進めてください。
<url>
<loc>絞り込んだあと吐き出されたURL</loc>
<lastmod>最終更新日</lastmod>
<changefreq>weekly</changefreq>
<priority>0.5</priority>
</url>
GoogleはXMLサイトマップのURLと最終更新日(lastmod)を気にするとのことです▼
ECサイトSEO初心者の方にはやや複雑で難易度が高いと思いますが、例えば「GUCCI 長財布 黒」などの2語以上の掛け合わせキーワード群が、それぞれ個別のページを作成しているにも関わらず、全くインデックスされない(順位が付かない)もしくは、PLP(優先的なランディングページ)とズレたページがランクインしている場合に疑ってみてください。
クローラビリティ(クロールバジェット)
本章ではクローラビリティとクロールバジェットについて解説いたします。
- クローラビリティ=クローラーにサイト構造を理解させる為に(満遍なく評価して貰うために)巡回し易い設計にすること。
- クロールバジェット=1つのサイトに対してクロールできる上限数(割り当て枠)のこと。 大型サイトでない限り、殆どのサイトは考える必要はないが、Googleのサーチコンソール上でのカバレッジエラーが増えてきたときは要注意です。
例えば、SUZURIなどクリエイター(ユーザー)がオリジナル作品をサイト内で販売できる参加型CGM、利用者掲載型UGC機能があるサイトの場合、コンテンツ品質を担保できない場合があります。
それにより末端のページが低品質と認識されることがあり、クロールバジェットの重みが出易く、運営側で制御&コントロールする必要があります。
例えば、自動生成されるコンテンツの改善例としては、
- ユーザーに対して投稿フォーマットを作成(文字数など)
- noindex(SERPsには表示させずサイト内回遊のユーザーには表示)
クロールバジェットトについては、Googleセントラルの大規模サイト管理者向けのクロール割り当て管理ガイドをご参照いただければと思います。
低品質ページが大量に発生、クローラビリティの負荷が掛かり順位下落したあと回復した成功事例
前述したクリエイター(ユーザー)がオリジナル作品をサイト内で販売できる参加型ECサイトと類似の事例ですが、低品質ページが気付かないうちに大量に自動生成されていたこと、コアアルゴリズムアップデートのタイミングが重なったことで大幅に順位下落した事例です。
サーチコンソール内で調査しクローラーが異常に回っていたタイミングがあったので、該当ページ群をすべてnoindex処理をして、徐々に回復できました。
ECサイトで類似商品が複数ある時のcanonical設定について
アパレルECサイトの場合、色違い、サイズ違いの商品が存在することが多くあります。
URLパラメータなどで個別に吐き出している際、商品説明も色、サイズ以外同じになる場合が多いので、重複ページとして認識される可能性があります。
その場合は、正規化したいURL(評価させたいURL)に対して、canonicalを設置してください。
商品AのTシャツをGoogleに評価させたい(優先させたい)場合は商品BとCのhead内に下記の記述をしてください。
<link rel=”canonical” href=”tshirt/white”>
Googlek公式サイトの検索セントラルの内容も併せてご確認ください。
重複しているページの適切な正規 URL を Google が選択できるようにする処理がcanonicalです
重複しているページの適切な正規 URL を Google が選択できるようにする
canonical記述の失敗例
(現状)
絞り込み条件で検索した際、どの掛け合わせ条件で絞りこんでも、canonicalでカテゴリTOPが指定されていることで、カテゴリTOPが現状インデックスされている。
また、meta情報も同じ文言が設定され、重複している。加えて静的URLと動的URLでループがかかっている状況。
結果、2語以上の掛け合わせキーワードで上位表示されず、PLP(Preferred Landing Page)=優先してインデックスさせたい(表示させたい)ページで評価されていない状態。 ※PLPについては、次の章で詳しく解説しています。
キーワード例:Tシャツ×白、Tシャツ×無地、Tシャツ×ナイキ
(改善後)
絞り込み条件で1つまたは複数の条件で選択した際、吐き出されたURLをインデックスさせることで、掛け合わせのキーワードでの評価(順位)を上げたいので、以下2パターンのいずれかで対応。
※静的URLの方が管理し易いので「パターン1」を推奨するが、改修スピード、コストを含めてエンジニアと応相談。
SEOに強いECサイトの作り方や成功事例はこちらの記事でご紹介しています。
PLPについて
PLPとはPreferred Landing Page(優先的なランディングページ)の頭文字をとった略語で、対象の検索キーワードのSERPsに優先的に表示させたい、または、表示させるべき自サイトのページを指します。
データベース型サイトではPLPがランキングしているLP(ランディングページ)と一致しないことが往々にしてあります。要因としては、クエリとのコンテンツマッチ度がPLPよりもランディングしているページの方が高いことが想定されます。
改善方法としては、
- PLPのコンテンツを厚くする。
- 内部リンク(パンくずなど)の設計を見直し、PLPに重みづけしてあげる。(評価を寄せる)
- 現在、評価されているページのコンテンツを調整する。(関連のキーワードをランディングさせることを検討する等)
【PLP不一致の例1】検索絞り込み機能の失敗例
データベース型のサイトで(不動産、求人、ECなど) どの掛け合わせ条件で絞りこんでもcanonicalで特定のURLが指定されている。(掛け合わせページがindexされていない)またmeta情報も同じ文言が設定され重複している。結果PLPにズレが起こりCVRが低い(よくあるのは記事がランディングページになる)
※前章で解説した事例のように、パラメータ URLで吐き出しているパターンでcanonical設置の失敗をしていることが多いです。
改善例▼
- 絞り込み条件で吐き出されたURLをcanonicalで特定のURLを指定せず、1つ1つ固有のURLをindexさせる。
- titleをユニークに設定する。例:Tシャツ 赤 | サイト名 Tシャツ 赤 ビッグシルエット
- コンテンツをリッチにし、掛け合わせのキーワードでの評価(順位)を上げつつ、総体的にindexをさせる。
- その際、静的でも動的URLでもSEO的には問題ないが管理上、理想は静的URLが望ましいが改修コスト、スピード感を考慮した上で判断。
- 記事からは内部リンクを該当の掛け合わせページに這わせる。
- 同時にパンくず設計の見直しとアンカーテキストに対策キーワードを含める。
【PLP不一致の例2】実店舗を複数展開する企業のデータベース型サイト
エリア掛け合わせキーワードのPLPは店舗ページにしたいが、意図していないTOPページになっており、順位も取れていないパターンが、特に地方企業が運営しているデータべース型のサイトで見かけます。
何故、地方企業のデータベース型サイトかというと、エリア掛け合わせでのSERPsが成熟していない場合が往々にしてあるからです。
大抵、全国の情報を網羅したポータルサイトが1位になり、2位以下がSEOに力は入れていない状態だが、複数店舗を持たず1つのエリアだけしか店舗展開していないことで、特化しているとGoogleが認識し、上位にきているパターンがあります。
※ローカライズされているクエリでのSERPsが多い所感です。
これは幾つか要因と対策があり、調整できるので、ご参考までに。
- Serpsを掛け合わせ有無で見て「違い」を把握する
- 実店舗が存在するエリアの競合性を調査(Web/リアル両方) ※リアルは顧客に聞く、足を使ってアナログに。時には帝国データバンクで調査。事業の優位性、資本力を知る。
- SERPsでポータルが1位、2位以降が1店舗展開の企業が大半であれば1つのエリア掛け合わせキーワードだけ(本店/本社)をTOPページのtitleに入れる。
(例)
(As is)バッグ買取 | 広島 岡山の買取専門店 〇〇屋
(To be)バッグ買取 |広島の買取専門店 〇〇屋
※広島が本社のケース
❹店舗ページをエリア情報、企業情報、社員の声、お客様の声/口コミなどでコンテンツ拡充する
※TOPページに流入した掛け合わせキーワード以外の店舗情報を厚めにして検証する。
※2週間程度検証して見極めることを推奨いたします。評価を優先して上げたい、もしくは売上規模が大きいエリア(店舗)に対して❸のTOPページtitle調整をし、その他のエリア(店舗)に関しては店舗ページのコンテンツを拡充するイメージです。
本章の内容はニッチなようで、現場感では結構、クライアント様からご質問、ご要望をいただくケースがあるので、SEOコンサルタントの方は抑えておいて損はない内容です。
コンテンツ要素(各階層ごとのページ構成を作る)
本章では各階層ごとのコンテンツ要素を考えるためのロジックをお伝え致します。 まず競合サイトは、どのページにどういったコンテンツをどこの箇所に配置しているかを徹底的に調査いたします。
同じビジネスモデルでもサイト毎に当然ながら、保有コンテンツが違ってきます。
下記の表はデータベース型、買取上位サイトのコンテンツ要素を洗い出した資料(一部)です。
キーワードをカテゴリ群に分けた資料
コンテンツを洗い出し、初めの章で解説した各サイトの※キーワードの順位を可視化した資料、カテゴリを整理した資料と照らし合わせ、コンテンツリッチ度と順位の整合性を確認していきます。
※キーワードの順位を可視化した資料
整合性が確認できれば、商品数との相関性、meta要素が固有で設定されているか、内部リンクの比重度合い等、確認していきます。
データベース型サイトでコンテンツリッチ度が高いのに、ミドル、ロングキーワードの順位が低いサイトは大体、titleが適切な文言で設定されていないか、または※PLPがインデックスすらされていない状態です。(意図していないページに順位がついている)
※PLPがインデックスされていない場合は、意図的、またはミスでnoindexなどの何かしらの処理がされている場合か、canonicalの章で解説した記述ミスの場合が多い印象です。
データベース型サイト ドメイン配下のブログ(記事)作成
データベース型サイトでドメイン配下にブログ(記事)を書くことは非常に有効です。
何故なら、大きく2つの理由があります。
- TOP、一覧、詳細ページで拾いきれなかった検索需要にアプローチすることができるからです。特に顕在層の前の潜在層に対してアプローチすることが有効的です。
- アパレルファッション系のECサイトで言うと商品ページは比較的オリジナルブランド(D2C)以外であれば、メーカーの商品説明を記載することになり、競合サイトと差別化することが難しく、また、ZOZOTOWN、楽天、Amazonなどのモール型サイトにはドメインの強さ、商品数の多さの観点からもSEOで真っ向勝負をすることは難しいからです。それであれば、ZOZOTOWN、楽天、Amazonなどが出来ないことは何か?という事を考えると、ブログ(記事)作成をすることによって潜在層にリーチするようなキーワードと記事内容でクエリの受け皿を作成し、そこから商品ページに誘導させるように設計していくことを推奨いたします。
例えば、アパレル系のECサイトであればファッションコーディネートの記事などを書いていくと良いでしょう。
キーワード例▼
デニム コーディネート 170
デニム シャツ コーディネート 110
デニム スカート コーディネート 90
秋コーディネート 390
秋コーディネート メンズ 70
秋コーディネートレディース 170
不動産サイトでのドメイン配下のブログ(記事)作成
不動産サイトの場合は多くのサイトで「レインズ(REINS)」を使用しているので、コンテンツの差別化が図りづらい場合があります。
※「レインズ(REINS)」とは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。
また、不動産購入や売却は人生の中でも最も大きなお金が動く時ですので、直ぐに行動に起こすことが少なく、情報収集段階でいかに有益なコンテンツをユーザーに見て貰うかがポイントになります。そのためにも記事作成は非常に有効です。
クラウドサービスで良いライターを採用する際、必ず行う質問
記事制作をする際は、外部ライターに委託することもあると思いますが、クラウドサービスを利用してライターを採用する際は、以下の質問を必ずしています。
❶キーワード調査、記事作成する際の普段使用しているツールはありますか?
❷指定したキーワードに対して上位表示するための構成を作成することは可能でしょうか?(見出し文作成含む)
その際の調査から作成までの手順を教えて頂ければ幸いです。
(例)ラッコ見出しを用い上位10記事の構成を確認 > 上位ドメインが記事かそれ以外かを判断。ahrefsで流入キーワードを確認 > ruri-coでキーワードの保有率と類似率を分析
❸(アパレルECサイトであった場合)洋服は好きですか?好きなブランドは?月にどのくらいの費用をかけていますか?
上記3つの質問をすることで、SEOの知見とスキル、文章能力が返信文から凡そ想定できます。
また、最後の3つ目の質問をライター採用の際に、重要視していますが、専門性のある方にお願いするようにしています。
例えば、
- アパレルECサイトであれば現役の販売員(副業でライター)
- ネイルのECサイトであれば、現役ネイリスト(副業でライター)など。
記事制作のマニュアルはこちらで用意し、slack環境に招待、ライター同士で学び合う仕組みと私からSEOの知見を伝えて育成していくので、「興味があるか」「専門性があるか」をライター採用の際には重要視しています。
データベース型サイトのmeta要素作成(title / description)
サンプル1:(データベース型)ブランド買取サイト
アイテム、ブランド、ブランド種類、ブランド色違いなど、すべての条件検索で吐き出された掛け合わせページに対して固有のtitle、descriptionを検索VOLを考慮し、エンジニアが流し込み易いようにテンプレートを作成。
(例)
アイテム:バッグ、時計、洋服、宝石
ブランド:エルメス、ヴィトン、グッチ
ブランド種類:エルメスバーキン、ヴィトン エピ
ブランド色違い:エルメスバーキン 赤
titleの設定は今も昔も恐らくこれからも一番、費用対効果の高い施策だと実感しています。
ここをいかに面倒くさがらずに、SEOコンサルタント及びSEO担当者が丁寧に仕上げるかで効果も工数も大幅に変わってきますので、私は最も集中して作成しています。
サンプル2:(ECサイト)飲食ECサイト
●ECサイトのmeta(title / description)を作成する際の3つのポイント
初期で緻密なテンプレを用意しておかないと後で大変なので丁寧に設計する事が大事です。
- ECサイトの場合、商品番号、商品名、サイト名などをすべてtitleに含めると、検索結果に表示される文字数が超過してしまうので、SEO観点から主要キーワードを前頭に含め、管理上は商品番号、サイト名は後半に記述。
- サイト名や企業名に関してはTOPのtitleで表示させ、一覧、詳細においてはdescriptionの前頭でサイト名を表示させる。その際はdescriptionにも主要キーワードを含めつつ、titleで含めきれなかった関連キーワードを記載することがポイントです。各アイテムキーワードで網羅的に上位表示できた場合に【指名検索】を増やす伏線になります。
- 「一覧、詳細のtitleにもサイト名や企業名を表示させた方が良いのでは?」とご質問をよく受けますが、amazon、楽天などのモール型サイトで決済することによってポイントを獲得したいユーザーでない限り、一覧、詳細ページにサイト名を必ずしも含める、または表示させる必要はないと実感していますのでSEOを優先してください。
モバイルフレンドリー
ECサイトにおいては特にモバイルユーザーが多いことから、スマホで見たときの見易さや購入までの導線設計などのUI/UXの改善が大事です。そのため、デスクトップとスマホのコンテンツの見せ方も異なってきます。
例えば、メニューをハンバーガーにしたり、テキストコンテンツは折りたためるアコーディオンメニューにしたりなど。この辺りはGoogleが無料で提供するモバイルフレンドリーテストの実施をしながら、エンジニア・デザイナー含めて相談しながら進めてください。
ECサイトにおいて、商品ページの構造化データマークアップを行うことを必須としてください。 何故なら、構造化マークアップを行うことで、サイト内の価格や在庫状況、口コミなど詳細な商品情報を検索結果に表示させることが可能だからです。
構造化マークアップを実装することで、まだ明確に商品を決めていない潜在層へのリーチも可能となり、またユーザーに分かり易い形で検索結果上に視覚化させることで、CTRも向上するメリットがあります。
構造化マークアップはGoogle公式のガイドラインがありますので。確認し実装してください。
構造化マークアップの支援ツールも公式またはサードバーティツールとして公開しているものもありますので、活用すれば簡単に実装可能です。
最後に必ず、正しく実装できているかも確認してください。
指名検索
最後の施策として、指名検索を増やす方法をご紹介いたします。
結論、指名検索を圧倒的に増やす方法は「テレビCM」が最速だと感じています。
もちろん、それまでサイトの仕組みを整えておくことは必須ですが、指名検索流入がサーチコンソール上でも日に日に増加していく度に、ミドル、ロングテールキーワードも自然と上昇した事例があります。
仮説ではありますが、指名検索での流入が多くなったことにより、Googleから専門性、信頼性が認知され、ビッグ、ミドル、ロングテールキーワードが総体的に上がったのだと思います。
CMは予算との兼ね合いだと思いますが、ECサイトとは相性も良く、地方CMであればある程度単価も抑えられますので、ご検討してみてはいかがでしょうか。
今まで具体的な施策事例をご紹介してきましたが、再度はじめに戻り、ワイヤーフレームとサイトマップを整えていきます。ワイヤーフレームは顧客(自社)、デザイナー、エンジニア、ライターなど各部署に全体感を伝えるための設計図となり、原点に戻れる指針図となるように施策実装中でも私の場合、都度修正しています。
正直、結構手間の掛かる作業となりますが、「As is」「To be」の可視化となり、どういった施策を過去実装し、何が成功の要因で何が改善点かを都度、メモしておくようにしています。
サンプル例
ECサイト/データベース型サイトの効果検証
効果検証については、CV、PV、メディア(記事)から本体への遷移率など様々な指標がありますが、本記事ではSEOを中心に解説していますので、順位についての効果検証を解説いたします。
ECサイト/データベース型サイトでは個別単位のキーワード順位だけを追わずにカテゴリ単位の平均順位も追ってください。
業界例:(データベース型サイト)求人/転職サイト
個別キーワード例▶ 品川 エンジニア 転職, 五反田 エンジニア 転職
カテゴリKW例▶ 港区 エンジニア 転職
カテゴリ単位で順位平均値を追うと、課題が明確になります。
- 末端ページのコンテンツ品質
- パンくずなどの内部リンク設計
- index状況やmetaの改善 など
適切な効果測定を知っているとクリティカルな施策方針が出せます。
逆にデータベース型サイトで適切な効果測定が出来ていないと改修側のコスト、工数が大幅に掛かり、施策自体が遅れ、無駄なコストと時間が掛かってしまいます。
データベース型サイトのSEO成功事例(アパレル/美容)
実際に私がご支援させていただいた事例でお伝えすると、
❶「アパレルのECサイト」平均700万PV/月、検索VOL41000のキーワードで1位。
施策から4ヵ月のスピードで自然検索流入 約5倍。
❷「ネイル販売のECサイト」平均600万PV/月、月間30万UU、検索VOL74000のキーワードで1位。施策から約半年で自然検索流入 約3倍 ※競合の楽天やAmazonよりもサイトの専門性を高めたことで上位表示させることに成功。
特にネイルに関しては流行の流れが速いことから、トレンドキーワードを先行して作成していきました。
キーワード例で言うと、「韓国 ネイル」「BTSのButterネイル」など。
このあたりのトレンドキーワードは検索回数(VOL)がほぼない状態であってもSNSなどでリサーチして、先行して作成できるところが楽天、Amazonなどのモール型サイトには出来ないことなので、真っ向勝負せずにECサイトの独自性を高めていくと良いでしょう。
また、爪のケア方法などのキーワードでも記事作成し上位表示させたことで潜在層を多く獲得できました。
このような戦略の打ち手を考察するときは、下記のような例えで熟考していくと良いアイディアが生まれると思います。
- 百貨店と専門店の違い(ポータルサイトと自社サイトの違い)
- マンションと注文住宅の違い
本章をまとめますと、自社運営サイトのメリットデメリット、ユーザー層を見極め、戦略を立てて愚直に実装していくことができれば、巨大データベース型サイトにもSEOでも勝てる余地はあると確信しています。
まとめ
私はSEOをご支援する際は、サイト全体の設計や企業ブランディングを意識しつつ、社内でのSEO優先順位、リテラシー、リソース面を考慮しながら一緒に伴走することが成功するポイントだと、今まで10数年SEOに関わってきて感じることです。
そう感じたのも、顧客のヒト・モノ・コトを理解し、
企業の「2番目のファン」になることが双方の熱量が重なり、必ず良い結果を出せてきたからです。
※当然ですが、顧客のサービスや商品、ソリューションは顧客が「一番のファン」であり、良さや強みをご理解されていると存じますので、SEOコンサルタントに丸投げしてしまうと理想の成果は出しずらく、「ズレ」も生じる可能性があります。
一方で、もしご契約期間中にSEOで期待した効果が出なくてもSEOはWebマーケティングの1つの施策であって、固執する必要もないと考えています。その為に、その他のデジタルマーケティングの知見をコンサル側は、幅広く抑えておく必要があります。
SEOコンサルタントの介在価値は、社内のナレッジを溜めるようなコンサルティングを意識し、最終的には顧客が自走できる状態まで後押しすることですので知識オタクだけにはならないでください。
最後に、5つのデータベース型サイトの事例でもお伝えしましたが、SEOの目的は順位を上げることではなく、「収益」をあげることです。そのために、どこで尖らせるかをまずは、考えてください。
Googleのプラットフォームで勝負している以上、アップデートにより影響を受けることも多々あると思いますが、私たちがサービスを届けたいのは、Googleではなく、検索エンジンの先にいるユーザーです。
これを私は「正論の向こう側」と言っています。(笑)
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